びぼうぶろぐ。

基本的に自分の備忘録のためですが、同時にどなたかのお役に立てればと思いながら書いています。

NHKスペシャル「夢を掴みには来たけれど ~ルポ 外国人労働者150万人時代~」

NHKスペシャル「夢を掴みには来たけれど ~ルポ 外国人労働者150万人時代~」

今年4月、改正入国管理法が施行され
今後外国人労働者が増加することが予想される。

日本にいる外国人には、留学生や技能実習生、不法滞在者などがいるが
彼らのなかには、
不本意ながら危険な労働に従事せざるを得なくない人も少なくない。
そんな外国人労働者の現状を描いたルポ番組です。

私自身、外国人労働者かどうか分からないが
スーパーなんかでは外国人はよく見かけます。
しかし、ここで紹介されているのは
そういう人たちよりももっと隠された人たちではないか、
と感じました

日本人でも、
氷河期就職難のあおりを受けて、
シングル、非正規の人たちがいて
その人たちは「自分たちのような境遇の人はどこにいるの」と言っている。
それくらい孤独を感じている、ということなんだろうけど

ここで紹介されている外国人たちも
私自身があまり見かけないということは
どこかで孤独を感じているのかな…
と思ってしまいました

今回のルポは、ベトナム人の人たちのお話しです。
○日本人で働くベトナム人たち
 冒頭出演されていたのは
 ベトナム人の僧侶、ティック・タム・チーさん

 タム・チーさんはベトナム人労働者たちの相談にのったり、
 日本で亡くなったベトナム人を供養してきたそうです
 ベトナムは8割が仏教徒
 タム・チーさんのお寺にはベトナム人が集まっていて
 心の支えです、という方もいました

 日本で働くベトナム人は、
 31万人、5年で8倍になっていて
 日本の外国人労働者の中でも増加率が多いようです。

 しかし、亡くなる方は少なくない。

 タム・チーさんによれば、
 この5年で150人も供養してきたが
 半数は20代から30代の若者で
 死因は突然死や自殺、事故などだそうです。
 半数が若者、というのは
 普通に考えたら異常なことですね…

 タム・チーさんは
 「どうして元気な若者が突然亡くなったのか、
  突然死には理由があるはず。
  このことを日本人にもベトナム人にも伝えてほしい。
  外国人労働者の現状を知ってほしい」
 と訴えていました
 タム・チーさんは
 日本で亡くなった方々の記録を保管しているそうです

 このあと、取材班は
 日本で亡くなった20代の若者の足取りを調べている

○希望が失望に変わる留学生
 最初のケースは
 日本に留学し、就職することを夢見て来日したものの
 退学して滞在資格を失い、
 不法労働者になって転落していく…
 という道をたどった方でした

 取材していたのはアインさんという若者。
 彼は銚子沖で船に乗っている最中、26歳という若さで亡くなっている
 死因は真夜中に起きた船の転覆事故で、
 密漁の疑いもあるらしい

 彼のことを知るいとこのトゥンさんに取材すると

 彼は貧しい農村の出の人で
 日本で留学して日本語を覚え
 日本の企業で働くことを夢見ていた

 「日本で学位をとれば日本で就職もできる、
  帰国しても収入の良い日系企業に就職できる、と」

 そして、彼は日本の学校で日本語を勉強し始める
 トゥンさんも同じ事情で来日していて
 アインさんは一緒に買い物に行ったり、とても親切にしてくれたそうです

 留学生は借金して来日している人が多いので
 二人はコンビニ弁当の工場でバイトを始める
 夜の勤務なのに、時給880円だったそうです…

 「それでもなかなか借金を返せず、プレッシャーがあった」

 半年ほどたつと、だんだんアインさんは学校に失望し始める
 「授業を受けていても悲しい」
 というのは、彼と同じような事情を持つ学生は多く
 授業中寝てる人がほとんどだったらしい
 しかし、先生はそれに注意しない

 トゥンさんによると
 「学費さえ払えば、ビザの更新時に出席したことにしてやる」
 と先生に言われたらしい
 入学説明の時にはそんな話はなかった、と。

 実はこのような利益目的だけでろくな授業をせず、
 行政指導を受ける学校は少なくないらしい
 政府が留学生の受け入れ拡大の方針を出したので
 ビジネスチャンスと見て
 取り合えず学校の形をとり、お金もうけをする人もいる

 アインさんの学校も指導を受けていて
 定員の3倍の学生を受け入れていたそうです

 日本語学校関係者の覆面インタビューによると
 「一番はお金」とハッキリ言っている
 「経営者からしたら、留学生は金づるみたいなもの、
  上の人はいつお金を払うのか、ということだけ聞いてきて
  学習達成度や授業の質など考えていない。
  最初希望をもってキラキラした目をしていた子が
  だんだん色褪せてくるのもよくある話」

 アインさんもこの学校に通うモチベーションが低下し、
 次の学費を求められたときに退学してしまう

 留学生ではなくなったため、彼は在留資格を失ってしまう
 トゥンさんも
 「私も借金を抱えていて、励ますしかなかった、
  彼は色んな人に連絡して
  不法滞在者でもできる仕事を探していた」

 アインさんが亡くなった銚子港には
 似たような不法労働者が10人ほど住んでいるアパートがある
 同じように失望して退学した人、
 技能実習先の労働環境があまりに劣悪でやめた人などがいる

 そこで話をしてくれた方の言葉が生々しい。
 「みんな来日したときに借金を抱えている、
  自分が払えないと、故郷の家族に請求が行くんです」

 「私たちはいくところまでいくしかない、
  お金が入るなら危険な仕事もやらなければならない、
  家族のために働かなくてはいけない」

 「我々は日雇いなので、お金をもらえるなら労働力を提供する、
  それが合法か違法かはもはや関係ない。
  不法滞在している時点で違法なのだから。
  それが家族を離れて、日雇いで働く者のさだめなのです」

 アインさんは
 「お金のためにキャリアを失った、
  自分の行為は自分に返ってくる。
  許してください、取り戻すチャンスを与えてください」
 と書いているそうです

 トゥンさんの言葉も重い。
 「彼の死後、しばらく彼の夢ばかり見た。
  いく先々に彼がついてくる夢だ。
  友人に話したらみんな同じ夢を見たらしい」

 「多かれ少なかれお金は稼ぎたい、
  でも違法な仕事は誰も望んでない。
  ましてやそのために命を落とすべきではない」

 ベトナムでは、日本を目指す若者は少なくない
 ベトナムの平均月収は17000円。
 日本で働けばその十倍稼げる、
 成功すれば家がたつ、
 と紹介業者はいうそうですが
 実際どのくらい成功するの?と聞いてみると
 「2割ですかね」…それも、留学先や仕事先の運しだい。

 アインさんは、両親には
 「ベトナムでお店を作って両親を楽させてあげたい」
 と夢を語っていたそうです
 しかし帰ってきたのは彼の遺体だけ…

 父親は彼のお墓参りをしながら
 「不法滞在になったとき、帰国するよう説得したが、
  息子は帰ってこなかった」
 何も達成せずに、借金だけして家に帰るのが
 彼には耐えられなかったのかもしれない。

「お金を稼いでも、息子が帰ってこなければ意味がない。
 息子を失った悲しみは、
 私たちが死ぬまで続くでしょう…」

○いいように使われる技能実習
 僧侶のタム・チーさんは
 埼玉のお寺で技能実習生の悩みを聞いている

 技能実習制度は1993年に始まる
  日本で技能を教え、
  自国にスキルを持ち帰り、自国の発展に生かしてもらおう
 と始まった制度だが
 実際は補助的な作業しかさせてもらえなかったり
 日本人がやりたがらない仕事をするための
 安価な労働手段として使われていることも少なくない

 タム・チーさんのもとに相談する人々も
 「残業は断れないのに時給400円。
  1ヶ月120時間残業しても4万円しか稼げない
  でも寮に帰るともっと酷くて
  シャワーは順番待ちで寝るのは深夜2時」

 「社長に借金費用を聞かれて、100万円と答えたら
  反抗できないと思ったのか、
  その日から首をつかみ、暴言を吐かれるようになった」

 その中で、神奈川で首をつって亡くなった
 技能実習生のホアンさん25歳
 タム・チーさんは彼の遺書を保管している

 それによると
 「お父さん、お母さん、怖いです。
  職場の人は、私がどれくらい頑張っているかを理解してくれない、
  ボロボロになって体を引きずって働いても、軽蔑される」

 ホアンさんは亡くなる数ヵ月前
 技能実習生を仲介、監視する団体に
 働き先を変えてほしいと訴えていたが
 「会社には言うから頑張れ」
 としか言ってもらえなかったらしい

 基本的に実習先の職場の変更は国に認められていないそうで
 タム・チーさんは
 「職業選択の自由すらない」

 「日本の便利な社会やサービスは
  外国人労働者の犠牲が有るのです。
  しかし、その犠牲に光が当たることはない」

 「私たちはみんな誰かと繋がっています、
  無関係ではいられないのです
  社会を維持するためにお互い協力する必要がある」
 と訴える。

○不法労働者の過酷な環境
 不法労働をしていたとき
 脳梗塞で倒れた方もいました
 グェンさん34歳

 彼は不法労働で寝泊まりしていた所で突然脳梗塞になり
 2度の手術をし、一命はとりとめたものの
 400万円の医療費を請求されている
 しかも半身不随で車イス、言語障害も残ってしまう…

 グェンさんは技能実習生として来日したが
 実習先から逃亡し、そのまま滞在資格を失い
 不法滞在して3年間行方不明だったそうです

 技能実習生で失踪する人はこの5年(2013~17年)で2万4千人
 失踪先で、より過酷な労働を強いられる人もいる

 タム・チーさんによると
 技能実習生で失踪し、不法滞在者になった人は怪我や病気が多いらしい
 「仕事しないと生活できないから、
  危険な仕事もやる」

 グェンさんは逃亡後、出国するよう求められていたが、逃亡したままで
 タム・チーさんが
 「どうして帰国しなかったの?」と聞くと
 彼はたどたどしい言葉で
 「実習生として働いていたが
  給料を計算すると、2年半働いて来日費用を返済できるだけ、
  それなら来日した意味がない」と。

 「逃げたあとどんな仕事をしていたの?」と聞くと
 「岐阜で工事の仕事、
  名古屋で農業、滋賀で梱包…」

 実習先では
 15時間働いても7時間分の給料しかもらえていなかったそうです
 実習先では、法例違反や賃金の未払いをする企業も少なくない

 グェンさんは
 「実習生の10人のうち5、6人は良い仕事を続けられるが
  残りはそうでもない」
  その違いは、実習先の企業がいいか悪いかの運次第らしい

 グェンさんは帰国することになり
 タム・チーさんは空港の出国ゲートまで見送りに行く
 「しっかり帰るのよ」と言われると
 グェンさんは
 「できれば、日本に残りたかった…」と涙を流していました
 タム・チーさんは
 「この3年一体なんだったのか、
  という気持ちだったんでしょうね」と彼の気持ちを察していました

○親身になる経営者もいる
 最後に、この状況を乗り越えられないのか、
 とスタッフが聞いて、
 タム・チーさんが紹介してくれたケースを取材していました

 盛岡で、建設現場の足場を保守管理する会社
 ここは東日本大震災後に仕事が増え、
 3人の技能実習生を受け入れた

 社長がインタビューを受けていましたが
 実習生の一人、クェットさんが
 寮で寝ている間に突然死してしまったそうです

 ここの会社は法令を守る雇用をしていたそうです
 しかし原因は分からず…
 社長はベトナムの家族の元を訪れ、
 彼の母国でのお葬式にも出席して、涙を流している
 「ご家族にもお会いして、
  彼が何を大事にしていたのかを知りました」

 クェットさんは家族が大好きだったそうです。
 社長はクェットさんと交換日記をしていて
 それを読み返すと
 「家族のために働きたい」
 「子供がいなくて寂しい」
 と書いている

 クエットさんは妻子がいるが
 実習生は家族同伴を認められていないそうで、
 彼も単身赴任していた

「寂しさのストレスとか
 思うように稼げないプレッシャーがあったのかなぁ。
 家族や子供に会えないのは一番辛かったんじゃないかな、
 本人も無念だったんじゃないかと…」と社長は言う。

 残りの実習生たちにスタッフが取材に行くと
 「家族や友達や御近所さんがいないのが寂しい、
  私たちは職場と寮を往復するだけなので…」

 クェットさんの死後4か月後、
 社長は二人とも交換日記を再開する
 そこにはクェットさんを失った悲しみが書かれていて
 彼らの心にも傷が残っている、と社長は感じる

 そして、
 「彼と社長と魚釣りする約束をまだ果たしていない」
 という言葉を見つける

 そこで社長はすぐに二人を誘い、魚釣りに出掛けたそうです
 来月にはまた新しい実習生を受け入れるのだそうです

…改正入国管理法が4月に施行され、
 外国人労働者は150万人を突破すると言われている
 我々の隣にその労働者さんたちはいるかもしれない、
 というナレーションで終わっていました

〇感想など
 そもそも外国人労働者についてあまり知らなかったのですが
 外国人で日本での労働を認められている人は 
 在留資格というのが必要なのだそうです
 (就労の内容により資格が定められており、
  仕事が変わったらそれ用の資格を取得する必要がある)
 
 その中で、唯一単純労働が認められているのが「技能実習生」で
 最長5年、日本の企業で技術を学ぶことが許されている
 ただし彼らは転職できず、家族の同伴もできない
 5年たったら帰国しないといけない

 今回新しく改正されたルールでは
 この技能実習生の続きが加えられた、ということらしい
 技能実習生でテストに合格したら、
 「特定技能」という資格が与えられるようになる

 この「特定技能」は「1種」「2種」があり
 「1種」の人たちは
 ・さらに最長5年働くことができる
 ・決まった職種の中なら転職はできる
 ・ただし5年(技能実習の期間と足すと最長10年)たてば帰国せねばならず
 ・家族の同伴もできない

 一方「2種」の人たちは熟練した技術を持つ人たちで
 ・家族の同伴は可能
 ・滞在期間の更新もできる

 という風に変わるのだそうです
 ただ、今までの技能実習生の制度は残されたままなので
 彼らの人権侵害がどれほど解決されるかは未知数なようです…
 
 番組を見ていると
 来日した時点で、いい学校あるいはいい企業に当たるか外れるかで
 だいぶ運命が変わってしまう、 
 そこになんだか理不尽を感じました。
 というか、弱者を狙って不正を平気でする人が少なくないことが
 同じ日本人として恥ずかしいとも思いました。

 私の母親は工場で東南アジアの子たちと働いていたことがあって
 「素直でまじめでいい子たちだよ」と言っていました
 たぶん、アインさんなどもまじめに日本語を学び
 日本にも母国にも貢献したい、と思っていたんだろうと思う。
 そういう若者たちを失望させてはならない。
 
 最近、日本のいいところを紹介する番組が多いと思うのだが
 表面的にそういうことを見せていたところで、
 日本にも悪質な企業や学校があることが分かれば、
 日本に失望し、嫌ってしまう外国人が増えてしまうんじゃないか…と思います
 
 「一生懸命、ボロボロになるまで働いているのに軽蔑される…」
 と言って亡くなっていた方には胸が痛みました
 貧しくて日本語があまり上手でない、というだけで
 見下してしまう人がいるのだろうか。
 慣れない国に来て、慣れない言葉で働いているだけでも
 すごいことだと思うのだが…

 私自身はあんまり外国人と接点はないのですが
 (見かけはするけど、知り合う機会はないので)
 何か日本語が分からなくて困っていることがあったら、
 道案内とか、そういうことくらいはしてあげたいなぁ…などと思ってしまいました

 ただ、新聞の記事を読んでいると
 日本語学校でアインさんみたいにまじめな人もいるが
 授業中遊んで話を聞かない、という学生もいるそうです

 日本の学校も、それを管轄する国も、
 彼らがお金を払うかどうかではなくて
 優秀か、やる気があるかどうかで選別する、
 それで優秀な人にはバンバン頑張って、日本を支えてもらう、
 くらいの気概、戦略が必要かな、と感じました

 色々考えさせられました

 というわけで今回はこの辺で。