びぼうぶろぐ。

基本的に自分の備忘録のためですが、同時にどなたかのお役に立てればと思いながら書いています。

NHKBSプレミアム「イギリス 白馬の王子さまに会いたい!」

NHKBSプレミアム「イギリス 白馬の王子さまに会いたい!」
 
イギリスに今でも残る貴族の方々の話です。
先に200年前の天皇陛下の話がありましたが
こちらはイギリスの王家を支える貴族のお話です

番組自体は2月に放送されたものの再放送ですが
ちょうど元号変更の時期に放送されていて
伝統とか、日本の皇室制度などについても改めて考えさせられました

 番組では、20歳の大学生が
 社交界デビューのための舞踏会への招待状を受け取った場面から始まりました

 大学生の子は庶民ですが、幼い頃から乗馬に親しみ教養を磨いている
 イギリスでは、そのような淑女から選ばれた女性が毎年舞踏会に招待され、
 社交界デビューするんだそうです
 (選考の基準はよくわからんけど、アメリカ出身の方などもいるそうです)

 彼女はデビューに備え、現役イギリス貴族に取材しながら、
 貴族の歴史などについて学んでいく、
 という形式で番組が進んでいて、なるほどーと勉強になりました

 長い番組なので私の印象に残ったところを挙げてみます
○イギリスの貴族制度
 イギリスではいまだに世襲制の貴族制度が残っていて、
 現在800人くらいの方が爵位をお持ちだそう
 5つの爵位(公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵)に分かれ、
 功績に応じて王室から与えられ、
 長男がそれを引き継いでいく仕組み。

 元々は君主が家臣の功績を称えて与えたもので、
 伯爵は行政、男爵は地方を治める、など、
 役割に応じて爵位が決まっているそうです

 「貴族年鑑」などもあり
 ニセ貴族を見破ることもできるそうです

 しかし、なぜこの貴族制度がいまだに保たれているのか?
 番組では、はっきりと明示はされていなかったものの、
 現役貴族さんの話などから、
 貴族自身が自分の立場に謙虚になり、社会や地域のために尽くし
 領民がそれに尊敬の念を払う、
 という伝統が脈々と受け継がれているからなのかな、と感じました

○貴族の責任
 番組では、5人の現役貴族にインタビューしていました
 若くてイケメンな方が多いし(笑)
 豪華なお家も興味深いですが、

 どなたも貴族の責任、ノブレス・オブリージュ
 についての言葉を口にされているのが印象的でした
 行動の仕方は色々あるが、
 権力あるものはそれ相応の社会責任を果たさねばならない、と考えておられる。
 
 ・ウェールズ地方の男爵
  一人目の独身男爵は、ウェールズ地方に広大な屋敷を持つ方です。
  26歳の時父親が亡くなり、急に爵位を引く継ぐことになったそうです

  今は屋敷を公開して、家や地方の歴史を案内するツアーをしている
  歴史や地方のことを知ってもらうのが喜びなのだそうです
 (ちなみに1年間日本で教師をしていたご縁で、
  日本語ツアーも企画しているそうですよ)

  彼は貴族の責任についてこう話していました
  「領民のために力を注ぐのは代々の教えです。
   貴族には義務があり、それを尊重し、向き合わねばならない」

  「責任はありますが、私は楽しくやっています。
   人を助けるのは名誉なことです、
   私は祖父や父がしていたことを受け継いでいるだけなのです」

  「貴族制度には賛否両論ある、
   しかし爵位を受け継いだものが、
   その特権に謙虚になり、皆に尊敬をもって接すれば
   貴族は今の世にも意味ある存在であり続けるはずです」

   地位の高いものほど、皆に謙虚に尽くす、
   そういう姿を皆が見てくれている、と。

  ・スポーツで貢献する貴族
   2人目の子爵は、ポロというスポーツの選手。
   (馬に乗りながら、スティックでボールを打ってゴールを目指すようなゲーム)
   ロイヤルファミリーの方々ともお友達なのだそう

   しかし彼はこのスポーツに限界を感じ、
   別のことに挑戦しようと5000㎞大西洋を横断ボートレースに参加する
   未経験での挑戦だが、なんと優勝。

   彼はこのとき
   「人は窮地に陥って初めて知らない自分を発見する」
   と思ったそうで
   そんな経験をほかの人にもしてほしい、
   と、スポーツイベントを企画する会社を立ち上げた

  「勇気を出して踏み出すことです。
   それがどこにいくかは分からないが、
   人生において大きな一歩になる。
   極限まで挑戦することで、人は自分を変えられる」
   と彼は話していました

   彼は貴族の責任について
   「爵位は自分で稼ぐのではなく、引き継いだもの。
    それに見合う人になるのだ、と言われているようなものだと思う。
    私は、200年後に自分の生きざまを問われることがある、
    といつも思って行動している」

  ・ビジネスをする男爵
   イギリスの貴族はフランスなどと違い閉鎖されておらず、
   お金が無いと没落もするので、起業家精神が必要で
   ビジネスをしている人も多いそうです
  
   3人目の男爵の祖先は、産業革命時代に貢献して爵位を与えられた新興貴族。
   それを受け継ぐ現男爵は、ビジネス貴族らしく
   「この広大な屋敷を維持するのにはお金が必要」
   と率直に語っていて
   (年間4千万円かかるそうです)

   屋敷を使った結婚式ビジネス(宿泊もできるそうです)
   所領のリゾート開発、
   など新しいビジネスで稼いでいるそうです

   彼は、
   「父から受け継いだものを息子に繋げていくことが大事だと思っている」
   と話していました

   貴族も、お金を世の中に回すことで貢献することが必要、なのかな?

  ・スコットランド氏族
   4人目は爵位は無いが、スコットランドの氏族長の息子さん。
 
   スコットランドは18世紀まで独立していたことがあり
   イギリス本土とは違い、氏族制度があるそうです。
   地域で氏族が集まって暮らし、その氏族を束ねるのが氏族長だそうです

   氏族長は税の徴収、管理、領民の相談を受けるなど
   色んな仕事をしていたそう
   他の氏族長を招いてパーティーし、
   交流を深めるのも大事な仕事なのだそうです
   パーティーでは伝統衣装のキルト(スカートみたいな男性の民族衣装)をはく
   キルトの柄で氏族が分かるらしい

   この氏族は昔、借金を抱えて宅地を押さえられたことがあったそうで
   (50~60代くらいの現氏族長の祖父の代なので、相当前です)
   その後海外ビジネスで取り戻せたそうですが

   この経験から、語学は大事だと考え、
   氏族長の息子さんは7か国語をマスターしたそうです
   彼は名門大学ではなくビジネススクールに通い、早く独立したいと考えている
   「父や兄弟に恥をかかせないために、懸命に生きようと思う。
    誇れる氏族になりたい」と話していました

 ・貴族議員
  5人目の方は現役議員の伯爵さん。
  イギリスは日本と同じく二院制だが
  上院は貴族からなる貴族院
  下院は選挙で選ばれる庶民院なのだそう

  貴族院は王族と貴族から構成され、任期は無期限、終身なることも可能
  ただし無報酬(経費は出る)なのだそう

  貴族院の役割は何なのか?を現役議員さんに聞くと
  「法案を一字一句確認し、目的に沿うかどうかを確認する。
   下院は任期や選挙があるので
   どうしても政治的なところしかクローズアップされない、
   我々は時間をかけて、法案全体を精査できる強みがある」
  とのことでした

  しかし、トニー・ブレア首相のときに
  院の議席は不要だと、
  半分以上削られてしまったそうです

  5人目にインタビューしていた伯爵さんはこれに憤っており
  「貴族の誇りは個人のものではない、
   国家に尽くす責任がある。
   議席を減らすことは、その責任を我々から取り上げること、
   存在意義を失うことなのです」と話していました

  彼の家には小冠とローブ(マントみたいなの)も代々伝えられていて
  伝統的な行事のときに貴族たちはそれを見にまとうそうです
  「これらは、国の魂である王家に殉じること、
   自分の魂を国に捧げる象徴なのです」

  そして、彼はイギリスにおける王室の意味も語っていました
  「人々がこの国を訪れるのは
   現代にも息づく王制があるからです。
   現実に女王の姿を見ることができ、歴史を感じられる。
   それはイギリスならではのことで、
   人はそこに神秘を感じる。
   それがいまだに王制が支持されている理由なのです」

社交界デビュー
 番組の最後では
 主人公の大学生はドレスに身を包み
 社交界デビューの場で挨拶していました

 毎年20人ほどのレディーたちが、ここで社交界にデビューするそうです
 女王さまへの挨拶の儀式のあとは、
 貴族の王子さまたちとの会食、
 夜になると舞踏会でワルツを踊る
 ここで恋愛が生まれることもあるんだそう

 社交界の重要なイベントは他にも年にいくつかあって、
 競馬であるロイヤル・アスコット、
 テニスのウィンブルドンなどもその一つなのだそう

 それらのイベントは、社交界にデビューした女性たちが
 貴族の方々とお近づきになれる場なのだそうです

 これらは、王室や貴族に庶民がふれ合うことができる場でもあり
 この伝統が続いてほしい、と大学生は話していました
 「貴族は過去と現在をつなぐ架け橋だと感じました。
  彼らの話から、イギリスがどのような歴史で
  今の姿になってきたかを知ることができるのです」
 と話して終わっていました

○感想など
…ヨーロッパの貴族って、物語の中の話かと思っていたら
 現実にこういう方々がいるんだ、というのにまず驚きました(笑)
 
・番組を見たときは、貴族の方々が
 国や地域への貢献の思い、を口にされていたのが印象的でした。
 その直前に、「200年前の生前退位」(江戸時代の光格天皇のお話)
 という番組で見た
 光格天皇の「自分を後に、万民を前に」という言葉が重なりました…
 
 地位のある身だからこそ
 みんなや社会のために尽くさねば、謙虚であらねば、と思うのが素晴らしい。 

 どうも身分制度とかって、
 上にいる人が威張って、搾取して…
 という嫌なイメージを持ちがちなのだけど
 (そういうふるまいをした時代には、王政が倒されているのだろう)

 上の人が、自分が上にいるのはみんなのおかげなんだと自覚すること
 お金や地位のある人間こそが謙虚でいること、が大事なんだな、と思います。
 (これは、貴族でなくても言えることかもしれない、私も見習いたい)

 そして、これが何百年にもわたって受け継がれてきた、
 ということも重要だと思います。
 最初の貴族の方は
 「私は父親や祖父がしていたことを受け継いでいるだけ」
 とおっしゃっていたけど
 よき行いを続けていくことで
 時代が変わっても貴族は尊敬を受ける。

 また、貴族の方々は、大昔の様式のお宅を丁寧にお手入れされ、
 守っていらっしゃる方が多い。
 古いしお金もかかって大変なのになぜ残すのか、と思うのだけど、
 自分が貴族だと自覚する「場」であったり、
 自分が背負う歴史の重みを感じる「場」の意味合いがあるのかな、
 とも思いました

 貴族が尊敬され、イギリス貴族制度が支持されているのは
 それらの伝統の大切さを、庶民も貴族も理解しているからなのだろう。

・それからもう一つ思ったのは、イギリス貴族制度はよくできているなあ、ということ。
 番組では「貴族制度が王室を支えている」
 という興味深いナレーションがありました

 元号が代わった日に見たNHKスペシャル「日本人と天皇」では
 後半の方で皇室制度の存続の危機、の話がありました。
 そのとき、宮内庁か専門家の方か、どなたか忘れましたが
 「華族制度が廃止されたときから、
  日本の皇室制度は骨抜きにされてしまった」
 と発言していた方がいらっしゃって、
 その時は全く意味が分からなかった。

 しかし、今回の番組を見て思うとなるほどなと思いました。
 皇室と一般庶民って、世界がかけ離れすぎているのだけど、
 現在の日本の場合、その間を取り持つものが何もないのですよね。
 だから、皇室の方が一般人と結婚される、お付き合いする、となるとかなり敷居が高いし、
 皇室側からしても人選が大変…
 
 イギリスや華族制度があったころの日本なら、
 貴族や華族という、皇室に近い世界だけど皇室でもない、
 という方々がいらっしゃる。

 その方々の中に社交界デビューすることで、
 一般人でもそういう世界への免疫ができる感じがする。
 貴族世界からしても、社交界デビューという場を設けることで、
 身分とか立ち居振る舞いなど、
 ある程度の能力の持った人を選別できる。
 皇室としても、貴族世界が、
 一般の人との緩衝材的な立場になっている気がする。
 (皇族方の結婚相手が貴族から見つかるわけではないかもしれないが
  そういう場を通して、人脈とか人を見る目も養えそう)

 今の日本の皇室の場合、
 皇女さまの結婚だけでも報道はすごいし、人選も大変そうに見える。
 皇太子さまとの結婚となると、ためらう一般女性も多そう…
 雅子様も大変だったでしょうね。
 (余計なお世話ですが、悠仁さまのお相手になる方とか、ほんまめちゃ大変そう…)
 それは、貴族社会のような緩衝材的なものが無いからなのかなと思います。
 
 日本の場合、華族制度は
 日本国憲法の「法の下の平等」を理由に廃止されたようです。

 イギリスの場合、平等と貴族制度が両立しているのは不思議なんですが
 貴族院の存在があるからなのか、
 それとも貴族の「ノブレス・オブリージュ」が脈々と受け継がれ、
 貴族にも庶民にもずっと理解されてきたからなのか。
 (つまり、身分が高いのもそれなりに大変なんだよ、とみんな分かっているというか)
 そう考えるとイギリスはすごいな思います。

 そういえば私も、皇族の方々は国民のために尽くしておられるイメージはあるが、
 日本の華族って、ただの遊んでる金持ちくらいのイメージしかなかったです(…スミマセン)。
 そもそも華族ってどんな人?と思って調べたけど、
 どうも明治時代になってから、
 江戸時代までの大名や公家の方々に(ヨーロッパを真似して)華族を与えた、
 というのが始まりなようです。

 だからイギリスと比べると、歴史は浅いかも…
 おそらく華族のプライド、というものはあるはずなんでしょうが
 庶民とはちょっと遠いのかもしれないですね…
 もうちょっと庶民から身近に尊敬される存在だったら、歴史も変わっていたのかなあ。
 

…私は連休が来る前、
 正直、改元の儀式ってみる人いるの?とか思ってたんだけど(笑)
 儀式の様子や、それをお祝いする日本人みんなの様子が報道されているのを見ていると、
 やはり日本には皇室を敬う気持ちはずっと存在して
 それは自然に沸き起こるものなんだな~と感じました
 (かくいう私も、儀式はずっと見てしまいました(笑))

 しかしながら、今回の番組を見ていて、
 イギリスはなんだか伝統の格が違う、と感じてしまいました。
 上手いこと言えないのだが、
 イギリスの場合、儀式の日一度限りじゃなくて
 国民も含めた制度、国民も貴族もセットとして皇族が存在している感じがする。
 普段の生活と地続き、というか…

なんかその辺、日本の皇室制度とか、国民の皇室に対する意識もそうだけど、
見習わないといけないところがあるのかな~と感じました。

というわけで今回はこの辺で。