びぼうぶろぐ。

基本的に自分の備忘録のためですが、同時にどなたかのお役に立てればと思いながら書いています。

NHKBS「欲望の資本主義 2019~偽りの個人主義を越えて~(前半)」

NHKBS「欲望の資本主義 2019~偽りの個人主義を越えて~(前半)」

今年もありました「欲望の資本主義」、
もはや私のなかでは年始の風物詩と化しております
(取材する方々は大変だと思いますが)
今回もメンバー充実で大興奮でした(笑)

今回は市場の力を強調した経済学者、
フリードリヒ・ハイエクが主役なようです。
私はあんまり知りませんでしたので勉強になりました。

では前半から内容見てみます
第1章「今、資本主義という怪物が暴れる」
 最初はロンドンから。
 2016年、国民投票ブレグジット(イギリスのEU脱退)が決まった
 しかし2018年、再度の国民投票を求めるデモがおきる
 未だに世論は分断している

 デモの参加者たちは
 「ここ2~30年で人々は排他的になった」
 「本当は政府の経済政策の間違いなのに、移民政策を隠れ蓑にしている」

 次に出てきたのは、ロンドン大主催の
 「なぜ家が買えないのか?」
 というセミナー

 ここで講演していたライアン・コリンズさん
 (ロンドンの経済研究所ディレクター、不動産関係の研究者)
 「ロンドンやマンチェスターシドニーメルボルン
  オークランドバンクーバートロントなどの
  主要都市の土地の価格は平均年収の7倍になっている
  この被害をもっとも受けているのはミレニアム世代だ」と演説。

 彼はインタビューで
 「土地価格の急上昇の原因は金融市場の規制緩和にある」と話す。

 金融機関は土地を担保にお金を貸すので、
 不動産価格を上げれば利益が出るし
 土地所有者の資産価格も上がる

 それらが政治家や不動産会社への圧力となり
 不動産価格を押し上げる
 しかしそのせいで、若い世代が家を買えなくなっている、と。

 その状況はアメリカも同じで
 不動産バブルが原因のリーマンショックからまだ立ち直っていないそうです

 彼はその原因として
 「サッチャーレーガンの時代に「新自由主義」へのパラダイムが起きた。
  1980年代のことだ」と話す。

第2章「暴走の犯人は新自由主義?」
 1980年代、戦後の高度経済成長が頭打ちになり
 そのとき現れたのがアメリカのレーガン大統領とイギリスのサッチャー首相

 彼らは規制緩和、金融の解放を行い
 全てを市場に委ねることで経済成長を加速させようとした

 ロバート・スキデルスキーさん
 (イギリスのケインズ研究者、議員でもある経済学者)
 「新自由主義によれば
  金融システムはコントロールする必要がない。
  なぜなら彼らは、市場はいつも正しいと信じているからだ」

 しかし新自由主義は大きな代償を残す
 「1980年代以降の富や所得の格差の大幅な増大が
  今のポピュリズムの台頭や
  多くの人々の「システムに取り残された」
  という感覚につながった」

 「人々の怒りの余波が、今のブレグジット(イギリスのEU離脱)であり
  経済ナショナリズムだ。
  トランプも同じで、彼はラストベルトエコノミーが産み出した大統領だ」

 そしてスキデルスキーさんはこう言う。
 「全てはハイエクの影響だ。
  彼はこう言った
  「市場が崩壊するならそうさせればよい、
   市場に任せればいずれ健康が回復する」とね。
  しかしこの考え方は、政府にとっては悪影響をもたらした」

 「もちろん当時の全ての政府が彼の考え方を取り入れたわけではない、
  しかし市場に介入する「大きな政府」を罰するには便利だったのでしょう」

 特にサッチャーさんはハイエクから影響を受けていたそうで
 「常に「隷従への道」(serfdom)を持ち歩き、
  決断に迷うときはいつもハイエクを参考にしていた」

 一方、ワシントンのCATO経済研究所、ジョージ・セルゲンさん
 (金融経済学、歴史学者ハイエク思想研究者)

 「世界経済の問題のなかで、
  私が最も懸念しているのは自由貿易だ。
  今の世界は自由貿易を脅かす状況にある。
  それはトランプの過激なロジックのせいだが、
  それは他の国々にも悪影響を与えている」

 「その背景にあるのは、
  幸福や安定に大きな脅威となるナショナリズムだ。
  それは最終的には国境封鎖にいたり、
  文化間の交流、人々や物の自由な行き来を敵視することにつながる」

 「こうした自由主義への抵抗は大きな妨害となる、
  もっと深刻なのは、世界平和の土台を蝕むことだ」

 と、懸念することはスキデルスキーさんと同じ。

 ホワイトハウスの前でデモをする人たちは
 「今のアメリカは1億4千万人が貧困に喘いでいる、
  それは今の経済システムが、
  人々を救うためではなく
  搾取する強欲のために存在しているからだと思う」
 と格差の拡大が原因だ、と言う。

 しかしハイエク擁護派のセルゲンさんは、
 格差の拡大は致し方ないというようなことを言う。

 「ピケティ
  (「21世紀の資本」で、
   g(経済成長率)<r(資本収益率)、
  つまり富める人はますます富む、と書いた)
  の本や結論は全く評価していない。
  彼の理論は誤っていることが体系的に証明されている」
 ピケティは統計を根拠に理論を展開するが、
 統計はいつも正しいとは限らず、やり方によっては人を惑わす、と。

 彼はこう言う。
 「私たちが嫌う「貧困」と「不平等」は同じではない。
  みなが平等でも貧困な社会はあるし、
  不平等が存在しても、世界史のスケールから見れば
  最貧困層でも豊かな暮らしをしていることがある」

 「不平等を無くしたいのなら
  貧しい人を豊かにすべきで
  豊かな人を貧しくする必要はない、
  我々は貧困を減らしたいのだから」
 彼の考え方は、いわゆるトリクルダウン理論に近い。

 「これは古典的な自由主義の考え方と一致することになるが、
  私は例え不平等が増えたとしても
  最貧困層が豊かで、上の階級に行ける可能性があるのなら
  そのような社会を選ぶ」

 「大きな不平等が存在し、深刻な機能不全に陥っているからといって
  法律を変えて富を再分配しようという結論は短絡的、表面的だ。
  自由な経済活動の増大や、巨大化した企業が危険とは限らない」

 日本での相対貧困も、
 世界の貧しい国から比べれば、
 衣食住には困ってないんだから問題ない…
 ということか。

第3章「GAFAという陰の演出家」
 GAFAとはGoogleAppleFacebookAmazonのこと。
 最近彼らの独占が問題になっています。
 ニューヨーク州立大学
 スコット・ギャロウェイさん
 (デジタルマーケット分析企業CEO、
 「ThefourGAFA」でGAFAを批判)

 彼は4企業を独自に分析する動画を配信し、
 自社のビジネスサーチ部門をブランド化しようとしている

 ギャロウェイさんの分析によれば
 「Googleは神」
 「Facebookは愛」
 「Amazonは消費」
 「Appleはセックス」
 なんだそうです

 Googleという神に対して、人々は検索という祈りをささげ
 どんなメンターや司祭よりも検索結果を尊重する

 Facebookは子供の成長にとって栄養と同じくらい必要な、
 社会的な繋がりを提供する

 アマゾンは「安くいいものを買える」という消費モデルを提供した

 アップルが一番意味不明だったが
 「異性を引き付けるために、自分をよく見せる」
 という意味でセックスなんだそう

 「これらの神、愛、消費、セックスは人々の本能に踏み込んでいる」

 「これら4つの企業の時価総額の総計は、ドイツのGDPを越えている」

 「これは今の経済の病を現す。
  アメリカでももはや人間性は賛美されない、
  その代わり、英雄として賛美されるのは
  テクノロジーの億万長者だ」

 彼はこの解決策は
 「これら巨大な企業を分割すること」という
 「規制でも懲罰でもなく、独占禁止のための分割だ」

 一方、ジャン・ティロールさん
 (フランスの経済学者、市場の力と規制を分析しノーベル賞を受賞
 イケメン経済学者の安田洋祐さんと対談しています)

 ティロールさんは、「分割は解決策にはならない」という。

 それは企業のグローバル化のためで
 「昔は各国は、電気、通信、鉄道など公共事業の会社に規制を加えられたが
  それは国内の法律だった」

 安田さん「企業の影響範囲と国境が一致していたのですね」

 ティロールさん
 「その通り、しかし今のグローバル企業の影響範囲をコントロールすることは不可能だ」

 彼の解決策は
 「最低限必要なのは市場ではない、競争だ。
  競争は緊張感をもたらす。革新を迫り、低価格のサービス競争を促す。
  独占状態では革新は起きない、
  新商品と旧商品の共食いになるからだ」
 と、独占を無くすことを提案する。

 安田さん「大企業による、スタートアップ企業の買収についてはどう思いますか?」

 ティロールさん
 「それはしばしば起きている。
  「entry for buyout」買収のための上場、ですね。
  それでは競争も起きず、消費者にとって自由も生まれない」

 しかしそれは現実に起きている
 「大企業がライバルになりそうな企業を買収してしまう。
  Facebookがワッツアップやインスタグラムを買収したように。
  今の自由経済において、規制が最も重要な課題です」
 もはや規制以外に、GAFAは止められないのか…

第4章「怪物の深層にあるものは?」
 ベルリンの「経済サミット2018」
 ここに出席していたのは、ドイツの哲学者マルクス・ガブリエルさん
 (「世界は存在しない」という哲学を展開している方)
 「我々は機械が必要なのか」というテーマの討論?に出席し、
 他の出席者が
 「(機械化は)非常に大きな問題だ、
  職場では必要とされていないと感じる人たちは、
  みな停滞と無力感を感じるようになっている」
 と機械化を懸念する意見を述べると

 彼はそれに対して、
 「私は違う考え方です」という
 「我々の労働量は、これまでになく多い」と。

 しかしこれは彼の皮肉めいたロジックで
 「我々は常にデータを発信している
  例えばSNSのやりとりや、この会議などね。
  そこで私たちは、意味を持たないものを意味あるものに変えている。
  実はGAFAは、我々に膨大な負債を負っている」

 つまりネットサービス利用、というタダ働きのことを言っている。

 ガブリエルさん
 「ソーシャルメディアはカジノのようなものです」という。

  我々利用者は、「いいね!」を投票し、
  常にファイルや画像をアップしている。
  そこでポイントを稼いだ人は大儲けできるが
  実は一番儲けているのは胴元であるプラットフォーム会社だ、
  その仕組みが正にカジノだ、と。

 ガブリエルさんは
 「GAFAは、最もダーティーなカジノだと断言できますよ」
 と刺激的な表現。

 「インターネットの世界に規制がかけられる前に、
  これらの企業はできるだけ資産を倍加させようとしている」

 「我々はGAFAから搾取され、GAFAのために働かされている。
  我々がニュースを見たり検索したりする行為は全て「労働」であり、
  データや付加価値を産み出す。
  その付加価値が、カリフォルニアの口座に
  何十億ドルものお金を振り込ませている」

 取材はイスラエルにも及ぶ。
 ユヴェル・ノア・ハラリさん
  (「サピエンス全史」「ホモ・デウス」などで有名な歴史学者)
 「今は監視資本主義、といえるでしょう。
  アマゾンが取引のすべてのデータを集め続けたら、
  その巨大なデータベースと顧客や経済への深い知見で
  市場のすべて、少なくともある分野では
  Amazonが独占することができる」

 例えば今トマトの売り場は色々あり、
 不味くて高いものは売れないのが自由市場の仕組み。
 しかし20年後にはアマゾンが市場を独占し、
 彼らが商品の質や値段を決めているかもしれない、と。

 彼はこうした独占を懸念する。
 「こうした監視資資本主義を止めなければ、
  結果的に中央集権的なシステムになる。
  それは20世紀的な自由主義市場ではなく、中国に近いシステムになる」

 ハラリさんはこの状況に声を挙げるべきだ、という。
 「今のまま市場の力に委ねたら、
  すべてのお金と権力が一握りのエリートに集中してしまう
  多くの人たちが経済的、政治的に無力でひどい状態になる場合もありうる。
  何らかの行動を起こす必要がある
  冷笑的になる必要はない」

 …ネットサービス利用者は、利用料はタダだと信じてサービスを利用し、検索している
 でもそれはタダではなく、
 我々はその代わりにデータ提供、
 という無償の無限の労働を行っている
 その無償の労働力を糧にGAFAたちは低コストで利益を出し、
 ライバルを追い払って市場を独占していく、というシステム…

第5章 「市場はすべて自由の為に?」
 チェコプラハ、SSOBチェコ中央銀行
 ここには毎年この番組に出ておられるチェコの経済学者、
 トマス・セドラチェクさんがおられました
 (今回は来日されてないのね)

 彼は今回のお題がハイエクだと聞いたのかな?
 「自由はとても複雑な問題だ。
  我々チェコ人は、不運にも自由の事をよく知っている、
  なぜならこの国は、最低の共産主義国になろうとしていたのだから」
 と相変わらず言い回しが独特。

 一昔前、冷戦時代
 自由をうたう西側の資本主義と
 平等をうたう東側の共産主義が争っていた

 資本論を書いたマルクス
 資本主義を批判し、計画経済を理論化した
 社会主義は、全て必要な物資は中央で統制することができる、と主張した

 セドラチェクさん
 「ハイエクが批判したような自由でないシステムが、
  自由なシステムより生産性が高い、という状態を想像しよう。
  余計な競争や過剰な広告より、計画経済の方が優れている、
  「一つの翁工場で、1種類の車を作る、これの何が悪い?」とね。
  実際、最初はこちらの方が優れている、と考えられていた。
  しかし資本主義が勝利した」

 ハイエクは「隷従への道」という本で
 社会主義を独裁の始まり、と批判し
 「リーダーの多くは、まず社会主義になり
  のちにはファシストナチスになった」と書く。

 しかし資本主義の勝利は
 人々が自由を求めた結果だったのか?とセドラチェクさんは言う。
 「1989年、鉄のカーテンが壊れ、共産主義が終わった時
  チェコと周りの国で起こったことは
  いまだに議論になっている
  「これは自由の問題だったのか、空腹の問題だったのか?」と」

 必要としていたのは、自由だったのか、ただの豊かさだったのか…

 マルクス主義と敵対していたはずのアメリカ、
 ニューヨークのニュースクール私立大では今、
 マルクス主義集会が開かれている

 マルクス主義者を支持する人たちは、資本主義による格差の拡大を批判する
 「気候変動、発展途上国の環境問題などは
  富める国と貧しい国の構造が核心のグローバル帝国主義にある」
 「富裕層の資産は25%増大した一方で、
  大多数の人たちは食事にもありつけない。
  世界の豊かな8人の人たちと、人口の半分の資産が同じだ。
  経済成長は給料の増加や豊かな社会保障にはつながっていない、
  マンションオーナーを増やしただけだ」

 さらに、資本主義よりも社会主義が自由をもたらす、という人もいる
 「今という時代は「自由の罠」に陥っている」

 「憲法でも社会の価値観としても、「自由」は歌われている。
  でも実際は朝早起きして、したくない仕事をして、
  なのに給料は安く生活は苦しいままで自由などない」

 「一部の人だけが社会の富を独占するのではなく、
  みんなが生活していけるくらいの富を手に入れる、
  そのためには社会主義的なアイデアが役に立つ。
  世界の人々が本当の自由を謳歌できる」
 
 彼らは社会主義者の歌っていた歌「The International」をうたっていました

第6章 「国家VS市場」
 ケインズハイエクは20世紀に生きた経済学者で、
 お互いをライバル視してきた

 ケインズは国家による市場介入を重視し
 ハイエクは国家の介入を嫌い、市場の働きを重視した

 その対立が鮮明になったのが第二次大戦前の大恐慌
 ケインズはこのとき
 「国家が介入し、失業を減らす」という処方箋を出した
 「雇用、利子、および貨幣の一般理論」という本は
  経済学の革命ともいわれた

 しかしハイエクはこの政策に対し、
 「国家が関与を強めるのは、社会主義がするような隷従への道」だと批判する

 ハイエク研究者のジョージ・セルゲンさん
 「明らかに言えるのは、ハイエクは第二次大戦中の西欧諸国のような、
  国家権力の増大を警戒していた。
  第二次大戦のとき、政府の権限が増大し、様々な規制が行われ、
  国家による戦争のための計画経済が行われた。
  軍の為に物の生産をコントロールされた」

 「同時にハイエク社会主義の台頭を目にしていた。
  東欧の国では社会主義がスタンダードで、知識人の中には賛同するものすらいた」
 ハイエクは独裁政治を懸念していた、と分析する。

 ケインズ研究者のスキデルスキーさんも
 「ハイエクの考え方は、中央計画に反対で、
  計画するのではなく市場に任せようとした。
  彼にとって、ケインズは中央計画と市場経済との中間をとっているように見えたのでしょう。
  政府の権限が大きくなると、「従う精神」に流されてしまう。
  その流れを止めようとしていたのだろう」
 と、中央の統制に警戒するハイエクの姿勢に理解を示す。

 それはケインズも同じで、
 ケインズは「隷従への道」という本に賛辞を送っているそうです
 「これは実に見事な本だ、
  道徳的にも哲学的にも私はほぼ全面的に賛同する、
  それも感動したうえでの賛同だ」と書いているそうです

 しかしその上で、ケインズは彼と真っ向から対立する意見を提示する
 「だが今必要なのは、計画をなくすことではなく、むしろ増やすことだ」

 ケインズは、精神的にはハイエクに同意するが、国家の介入はやはり必要だと主張した

 ハイエクはそれにたいし、
 「計画が独裁を招くことはない、と信じるのはばかげている」
 と批判しているそうです

 スキデルスキーさん
 「ケインズハイエクに言った
  「あなたの考えは経済的な安定をなくし、
   人々は自由を放棄することになる。
   あなたの考える政策は、むしろ独裁的なシステムにつながるだろう」とね」

 スキデルスキーさん自身もハイエクを批判する
 「ハイエクの理論は間違っている、
  マクロ経済の理論を信じようとしなかった。
  労働市場にしても、
  彼は競争がある限り、失業は自発的なもの、とすら信じていたようだ。
  失業しても、賃金次第では仕事があるはずだ、と。
  彼の理論はバランスの取れた理論とは思えない」
 人々の意思にあまりにも任せすぎ、ということなのだろうか。

 一方ジョージ・セルゲンさんは
 「私はハイエクを支持し、ケインズは支持しない。
  一般理論はダメな本、表面的な本だ。
  人々は、ケインズの「一般理論」は金融経済に多大な貢献をしたように扱っているが
  私に言わせれば、これまでに読んだ金融経済の本において
  最も不満の残るものだった」

 「隷従への道は、人々に非常に大事な気づきを与えた。
  ハイエク
  当時増大していた国家介入の風潮を止めるのに一役買ったと思うが、
  その後最後の仕事をしたのはミルトン・フリードマンだ」

 スキデルスキーさんも
 「もう一人、新自由主義の推進には
  ミルトン・フリードマンの「マネタリズム」があった」とフリードマンの話。

 「(フリードマンは)
  国家にお金の印刷を任せておけば常にインフレを起こせてしまう、という考え方だ。
  マネーの量を決めれば、
  後は市場が始末する、と」

 「フリードマンの考え方から、
  独立な中央銀行と財政機関という発想が生まれた
  政府は手足を縛られるべきだ、
  国家から独立した中央銀行にお金の供給をコントールさせる。
  つまりどこまでも反国家的な考え方だ」

 「彼らは「すべてうまくいくことを保証する」と言った、
  しかし2008年に想定外の危機には対処できなかった。
  あの危機は、
  新自由主義の理念を問いただした事件だったのです」

前半はここで終わり。

…前半はわりと分かりやすかったかなと思います。
1章、2章は「新自由主義」の起こした格差問題、
3章、4章はGAFAの話。
5章は、
ハイエクが勧めた自由資本主義は、本当に自由をもたらしたのか?
資本主義がもたらしたのは豊かさ(しかも一部の人たちだけの)だけではないか?
という問題提起、
6章はハイエクケインズ論争の話。

でもそれだけではまとめきれないものもある。

例えば第2章ではハイエク派のセルギンさんが
「トリクルダウン」理論や格差を容認するような話をして
個人的には賛成しかねたが

5章のチェコのセドラチェクさんの話を聞くと、
我々が格差と引き換えに豊かさを求めたのは事実、
それは歴史が示していることがわかる。

3章のGAFAの分析はちょっとイミフな所もあるんですけど(笑)
彼らが人々の本能まで支配し、巨大化してきた話は頷ける。

年末のガブリエルさんの番組で、
「社会はイメージの投影に過ぎない、
 だとしたら広告で大衆のセルフイメージをコントロールできれば
 支配ができてしまう」
という哲学者の精神分析を受け入れた新自由主義
広告産業を生み出した、
という話があったのを思い出しました。

GAFAが我々の本能を支配し、
我々の「自己像」を
彼らの商売の都合の良いように作り変えているのかも、
(「リコメンド機能」は案外そうかも)
と思うと何とも言えない…

4章のガブリエルさんの「カジノ」の表現はシビレました(笑)
私も去年あたりからモヤモヤしていた
「ネット上のタダ働き」なのですが
これを切れ味鋭く描いてくれました。

彼らが市場を独占している限りは、
我々は彼らのプラットフォームをつかわざるをえない、
だから彼らが胴元になり、彼らが儲かる構図。

となればGAFAの独占を何とかする必要があるが、
ユーザーのデータ提供による労働コストタダ、には勝てませんからね。
コストは最小、ライバルが出たとしても勝てないし、
そりゃ買収された方がライバルも得だろう。

しかもこのタダ働きはユーザーへの強制ではなく、
自発的な(むしろ喜んでやってる人も多い)ので規制は難しい…
個人的には、GAFAに儲けを分け与えてもらう
(ネット税?)
以外に方法はないのではと思ってしまう。

第5章は後半につながる話だと思います。
自由市場思想から始まった資本主義は
自由をもたらしたのか、自由を無くしたのか、と。

6章はケインズハイエクですが
後半から考えると、
ハイエクフリードマンを同等に見ているあたりは
スキデルスキーさんには若干誤解があるのかもと感じました。

後半が長いので分割します。
さてそれでは後半へ。