びぼうぶろぐ。

基本的に自分の備忘録のためですが、同時にどなたかのお役に立てればと思いながら書いています。

BS世界のドキュメンタリー「アメリカ「刑務所産業」」

BS世界のドキュメンタリーアメリカ「刑務所産業」」

現在、世界のドキュメンタリーでは
現代の奴隷問題を取り上げるシリーズ(6回分くらい)
色々悲惨な話が多くて、取り上げるのもの何なのですが
今回の「刑務所産業」の話はへえ~と思ったのでメモっておきます

なんだろう、言い方がいいのかわからないけど
搾取する側から見たら「よくできてるシステムだな」というか…
18世紀くらいの奴隷貿易やってた頃と
基本的に発想が変わってない、てのがびっくりでした。

内容ざっくり書きます

この番組を企画したのは、ペンシルバニア州出身の黒人の方。

彼は移民系の方だったようですが
最初に来た時から人種差別を受けていた
高校になると幼馴染と組み、
盗みや麻薬売りなどに手を染める

ペンシルバニア州には刑務所があり
こういう貧困層、有色人種のすさんだ方が入るのは当たり前で、
「刑務所は生活の一部」なのだそうです
実際、彼の相棒である幼馴染は、刑務所に何度も入れられていたそうです

しかし彼自身は実は同性愛者で、
そのため家族からも疎まれ、故郷にいられなくなり、
「ゲイの町」として知られていたニューヨークへ。

彼は結果的に、それで故郷を出たのが良かったかもしれない、という。
というのは、刑務所には服役者を搾取するシステムがある。
故郷に残っていた幼馴染も、精神を病み、自殺してしまった
残された娘は「急に暗い世界に放り出された」と傷ついている

そこで、彼は刑務所のシステムを詳しく知るため、
刑務所のシステムを変えようと訴えるジャーナリスト、弁護士、元警察官、
それからシステムの側である司法省の人、監獄所の所長、全米刑務所協会の人、
などに話を聞いている

刑務所の搾取するシステム、というのは
貧困層や有色人種がターゲットにされ、
 軽犯罪でも刑務所に入れられる
 (実際、職務質問にあう有色人の割合は白人より〇〇%多い、とか
  麻薬などで捕まる有色人は明らかに白人より多い、というデータはあるらしい)

・職質の段階でも差別がある
 例えばドキュメンタリー企画者の方(黒人)は
 道を歩いていると必ず何している、と職質を受けるんだそうですが、
 これが裕福な白人なら明らかに違うだろう、と弁護士に言われている

 また、弁護士でこの問題に関心がある黒人の方は、
 高校のころ警察官だった父(養父)に捕まったことがあるが
 地元の名士だった父親のおかげでもみ消された、と話していました

・刑務所に入れられたくなければ、保釈金を払わねばならない
 しかし年間収入より高いことが多く、ほとんどの人は払えない
 何%か払えば建て替えてくれる「建て替えビジネス」なんてのもあるんだそうです

・刑期を終えても5年間は保護観察対象、となり、
 職に就いたり家を持たねばならない
 しかし前科者が仕事や家を見つけるのは容易ではなく、
 それができないとお金を払うか、また刑務所に入れられるかどちらかされる

 仕事のない人にお金を払え、というのも無茶苦茶だし、
 普通に暮らしている人は、仕事が無くてもお金を取られることはないのに、
 前科者というだけでお金を払わねばならない

・刑務所では、労働力とされる
 「教育」と称して雑用をいろいろやらされる
 監視以外の仕事、
 例えば掃除、食事、雑用、などはほとんどが服役者の仕事
 しかも最低賃金以下で働かされる。無賃金の州もある。
 そうして、刑務所は費用を浮かせている
 (アメリカ政府の調査では、このような仕事を服役者にやらせないと
  年間数億ドルの経費がかかる、と言っている
  刑務所の人は、「服役者は生活のコストがかからないから安月給でいいんだ」と言っていた)
 これを「現代の奴隷制度」と呼ぶ人もいるんだそうです

・服役者の電話代は、普通の電話より法外に高いなど
 いろんな手段で、服役者にお金を払わせている

・これらの待遇が服役者にもたらすメンタル面の影響も深刻で、
 無気力になったり、自分はダメだと思ったり、
 「どうせまたつかまる」というあきらめの心を植え付ける
 あるいは敵意、憎悪の念を育てることもある

 また、幼馴染の娘のように、家族に与える心の傷も大きい

 これらのシステムを支えるのが国民の税金で、
 各州では、税収の平均5%が刑務所の維持などに使われている

 その税金はどこへいくかというと、
 「全米刑務所協会」なるものがあり
 刑務所の運営に必要な、備品(衣類や家具、警備システム、食料など)
 を供給する企業を、各刑務所にあっせん、紹介しているんだそうです

 多分バックとして、税金から、協会や企業にお金が支払われているのだろう。
 協会の人は「我々はもうけてない」と否定していましたが…

 また、逮捕、収監には政治的なにおいもあるのだそう
 元連邦検事によれば
 「ここ数十年、軽犯罪も厳罰化され、監獄に入れられる人が増えている」
 それは1960年代の公民権運動にさかのぼり、
 当時社会運動を起こしていた、ヒッピーや黒人を取り締まるため
 ニクソン政権が、ヒッピーは大麻、黒人はヘロイン、
 を使っているとして逮捕者を増やした、という記録もあるらしい

 現在のトランプ政権もこの流れを汲んでおり、
 有色人種や貧困層を意図的に逮捕するのを後押ししているように感じ取られる、とのこと。
 例えば彼は演説で
 「犯罪者にやさしくするのは社会のためにならない、そうでしょう?」
 というようなロジックを使っている、と。

 このドキュメンタリーを企画した方は
 「この政権が終わるころに逮捕者がどれだけ増えているか、
  想像するだけでも恐ろしい」
 というような話をして、

 アメリカの有権者は、自分たちの国で起きていることを知らない、
 罪のない、あるいは微小な罪の貧困層や有色人種が意図的に逮捕され、
 搾取されているこの国のシステムを知るべきだ、
 と訴えていました

〇感想など
 うーん…
 私は奴隷制度の時代を知らないから、想像でしかものを言えないが、
 おそらく「奴隷は人間じゃないからどう扱ってもいい」
 みたいな気持ちが働いていたのかな、と思われる。
 
 それがいまだに、貧困層とか有色人種に働いているのかなあ。
 「生まれつきああだから、しょうがないんだよ」
 みたいな扱いになっているのかなあ…と思うと
 数百年前から考え方変わってないの?とびっくりします。

 昔ビッグデータの本で
 アメリカ人のネットの検索記録を調べたら、
 いまだに黒人への差別意識がある(「ニガー」を検索する人は多い)
 という話を読んで、そのときもちょっと驚いたんだけど
 欧米の人の人種差別意識って、
 一筋縄ではいかない、相当根深いものなのかも…

 ここまでくると、人種差別意識って、
 「人類はみな一緒」とか「個性なんだからみんな素晴らしい」とか
 そんなきれいごと言ってても解決しなくて、
 もっと深層意識に働きかけるような、治療法、というと言い過ぎかもしれないが
 そんなものを考えないといけないのかなぁ…とも思います。

 根本的には貧しい家の人、移民にこそチャレンジや教育を平等に与える、
 彼らを捕まえるよりも、
 そっちにお金を使う方がなんぼか役立つはず
 (州の税が使われるどころか、彼らの働くお金で税収が増えるだろう)
 合理的に考えればそのはずなのに、
 それがなされないというのは
 「彼らは無気力だから、お金をあげたって無駄よ」 
 みたいな差別意識が先にあるから、なのかな。なかなか問題は根深い。

 それから日本でも、
 貧困層とかマイノリティ、社会的弱者への知らず知らずの偏見が
 どこかに制度として固められていないだろうか。
 例えば貧困層の人が実質的にチャレンジを妨げられていることとか?
 あんまりそういう目で社会を見たことがなかったけど、
 今一度見ていかねばならないのかな、とも思いました。

 いろんな意味で勉強になりました。
 というわけで今回はこの辺で。